赤ちゃんが生れてはじめて迎えるお節句を、特別に「初節句(はつぜっく)」としてお祝いします。
女の子は桃の節句(上巳の節句/じょうしのせっく・3月3日)、男の子は端午の節句(たんごのせっく・5月5日)と、それぞれ別のお節句で祝います。
- お祝いする場所
- 自宅など
- お祝い時期
- (男の子)5月5日(女の子)3月3日
- 用意するもの
- (男の子)鯉のぼり、兜飾り等(女の子)ひな人形等
- お祝い金額
- 1万円~2万円
初節句の意味
節句は奇数が揃うゾロ目の日をお祝いする中国の考え方がもとになったお祝いごとで、合計すると年に5回あります。この5回の節句をあわせて五節句と呼びます。
桃の節句や端午の節句も、その五節句のうちの二つです。
五節句は以下の通りです。
- 1月7日(七草の節句、人日の節句/じんじつのせっく)
- 3月3日(桃の節句、上巳のせっく/じょうしのせっく)
- 5月5日(菖蒲の節句、端午の節句/たんごのせっく)
- 7月7日(七夕の節句/しちせきのせっく)
- 9月9日(重陽の節句/ちょうようのせっく)
1月だけゾロ目ではないですが(1月のゾロ目は元日ですね)、それぞれの節句がだいたい季節の変わり目の相当することもあり、神様にお供え物をし、みなで集まって飲食するなどしてお祝いしたそうです。
神様へお供え物をすることから「節供」という字を書くこともあります。
初節句の祝い方
初節句の祝い方は、女の子と男の子で違います。
お祝いする時期やお飾り、お節句にいただくお料理などについてチェックしてみましょう。
男の子の初節句「端午の節句(たんごのせっく)」の祝い方
男の子の節句である端午の節句のお祝いについて。
由来や意味などを詳しく知りたい方は、以下のサイト(外部)が非常に詳しいので参考になさってください。
端午の節句のお祝いの意味
端午の節句は別名「菖蒲(しょうぶ)の節句」とも呼ばれます。
菖蒲には、その強い香りから邪気を払う力があると考えられており大切にされてきました。
5月は菖蒲の花が咲く時期であることから、菖蒲湯や菖蒲枕、菖蒲酒などを飲んで菖蒲づくしの一日を過ごすのが菖蒲の節句です。
そんな菖蒲と尚武(※「武道・軍事などを大切なものと考える」こと ウィキペディア参照)が同じ読みであることや、菖蒲の葉の形が剣の形にも見えることから、武家の間で男の子のお祝いとしてしだいに盛んになっていったのが端午の節句のはじまりです。
当時は男の子が生まれると家の後継ぎとして育てられたため、健康に成長することを祈ることは、一族の繁栄を祈ることにもつながったのです。
もともと奈良時代から宮中で行われていたそうですが、今のようなお祝いの形になったのは鎌倉時代からです。
端午の節句のお祝いの時期
男の子の節句である端午の節句は5月5日です。
飾りを飾るのは春分の日(3月20日~21日のいずれか)頃から4月中旬ごろまでには飾りはじめ、端午の節句を過ぎて5月中旬ごろまでに片付けてしまいます。
長ければ2か月ほども飾っておいてよいものなんですね。
端午の節句のお飾り
端午の節句には内飾りと外飾りの2種類の飾りがあります。
内飾りは、兜、鎧、武者人形など。
たくましく元気に育つように願いを込めます。
外飾りは鯉のぼりや幟旗(のぼりばた)です。
立身出世を祈願して飾ります。
飾り方には地方によって違いもありますので、地域の飾り方などを調べておきましょう。
端午の節句の食べ物
端午の節句には、柏餅(かしわもち)やちまきを食べます。
どちらも縁起をかついで災いを避けると言われる縁起の良い食べ物です。
- 柏餅・・・柏の葉は、新しい芽が出るまでずっと古い葉が残る様子から、一族の家系が絶えずに残り続けるという縁起をかついでいます
- ちまき・・・茅の葉(ちがのは)で包んだ米は、災いを避ける食べ物として日本では伝わっています
上記他、端午の節句をお祝いするメニューを考える時は、縁起の良い食材を取り入れてみましょう。
- カツオ・・・勝負に勝つ魚(「勝男」とも書く)
- たけのこ・・・すくすく真っすぐ育つ
- ぶり・・・出世魚
- 赤飯・・・まめに働ける、赤は魔除けの色
女の子の初節句「上巳の節句(じょうしのせっく・桃の節句)」の祝い方
女の子の節句である上巳の節句(じょうしのせく)のお祝いについて。
由来や意味などを詳しく知りたい方は、以下のサイト(外部)が非常に詳しいので参考になさってください。
上巳の節句(桃の節句)のお祝いの意味
上巳の節句は、草木や紙で作った人形(ひとがた)に厄を移し、それを川や海に流す風習や禊祓い(みそぎはらい)などがあわさって今の形になったお祝いごとです。
厄を移すための人形(ひとがた)がひな人形の原型となったようで、生れた女の子の厄を落としてくれるありがたいものとして飾られるようになりました。
上巳の節句という呼び方は一般的にはあまりメジャーではありませんが、桃の節句、ひな祭りなどと呼ばれて広く親しまれているお祝いごとです。
上巳の節句(桃の節句)のお祝いの時期
上巳の節句は3月3日です。
飾りは立春(2月4日頃)から2月中旬ごろまでに飾りはじめて、上巳の節句が過ぎ、3月の中旬ごろまでに片付けるのが一般的です。
端午の節句の飾りと違ってあまり長い期間飾らないのですが、せっかくなので上巳の節句の1週間前までには飾ってお祝いしましょう。
ひな人形は収納時にカビがついてしまうこともあるので、片付けるのは乾燥したお天気の良い日を選ぶと良いですね。
上巳の節句(桃の節句)のお飾り
上巳の節句では、ひな人形を飾ります。
ひな人形は大きな段飾りだけでなく、親王飾(しんのうかざり)と呼ばれる内裏雛だけの飾りもあります。
- 段飾り・・・一般的なのは7段の飾り。赤い布の上に15人のひな人形と、嫁入り道具を並べて飾ります。三段や一段のものもあります
- 親王飾・・・内裏雛の後ろに金屏風を立てて、両サイドにぼんぼりを置きます
- 吊るし雛・・・野菜や花など、生活に必要なものを飾ります
お雛様の他には、桃の節句らしく桃の花も飾ります。
桃の花には邪気を払う力があるとされます。
上巳の節句(桃の節句)のお料理
上巳の節句にはひな人形と一緒に、お節句にちなんだ食べ物を供えます。
- 菱餅(ひしもち)・・・赤(魔除け)、白(長寿・純潔)、緑(健康)
- ひなあられ・・・一年を通しての幸せを祈願
- 白酒(しらざけ)・甘酒・・・厄払い
下から緑→白→赤と重ねる菱餅をよく見かけますが、これは「雪(白)の下には新芽(緑)が芽吹いており、上には桃の花が咲いている」様子を表しています。
ひなあられは4色(赤・緑・白・黄)のものがよく見られますが、これは四季を表現しているそうで、四季を通して幸せでいられますようにという願いがこもっているものです。
あと上巳の節句にかかせないお料理と言えば、ちらし寿司とハマグリのお吸い物ですね。
- ちらし寿司・・・えび(長寿)、蓮根(見通しが良い)など縁起の良い食材を使います
- 蛤(はまぐり)のお吸い物・・・良縁結び祈願
蛤は二枚貝なのですが、二枚貝は対の貝殻しか上手く合わさらないことから、よいパートナーとの結婚を象徴しているとされます。
初節句のお祝い
- お祝いを贈る時期
- お祝いの半月くらい前まで(飾りを贈る場合は1か月前まで)
- 表書き
- 初節句御祝、御初幟御祝(おんはつのぼりおいわい・男の子)/御初雛御祝(おんはつびなおいわい・女の子)、御祝
- 水引
- 紅白蝶結
- 金額
- (親戚)1万~2万(友人)5,000円~1万円
金封でお祝いする場合は、お祝いの半月から当日までにお渡ししたり、お祝い当日に持参しても構いません。
お飾りを贈る場合は飾る期間も考えて、お祝いの1か月前頃にはお贈りするようにします。
ただしお飾りは大きなものですので、住環境上受け取るのが難しい場合もあります。贈る前に必ず相談するようにしましょう。
初節句の内祝い
- 内祝を贈る時期
- お祝いをいただいてから1か月以内
- 表書き
- 内祝(氏名は子供の名前)、桃の花(桃の節句)、菖蒲(端午の節句)
- 水引
- 紅白蝶結
- 金額
- いただいたお祝いの半額程度
身内のお祝いなので基本的に内祝は必要ありませんが、お祝いの席へお招きしてお祝い膳を一緒に囲んだり、それが難しいようでしたらお電話やお礼状をお贈りするようにしましょう。
お品物でお返しする場合は、タオルや紅白饅頭、紅白の角砂糖、鰹節などをお渡しします。
初節句のQ&A
初節句にまつわる疑問をピックアップします。
初節句のお飾りは誰が贈るの?
初節句のお祝い飾りは、母方の実家から贈られるのがならわしです。
しかし高価なお品であることからも、現代では両家で折半して購入することも多いですし、両親が購入することも少なくありません。
長く大切に飾るものなので気に入ったものを選べるように、現金でお祝いをいただいても問題ありません。
両家から申し出がある場合は特に、揉め事を起こさないためにもお飾りの半額程度ずつを現金でいただくのも良いですね。
初節句のお飾りは親から譲り受けてもいいの?
お節句のお飾りは、一人一つずつ持つものです。
節句のお飾りには「身代わりとなって子供を厄から守ってくれる」という意味が込められており、お飾りの持ち主本人のみを守ってくれるものなので、親のお飾りは親の物。子供へはまた別に新しく購入するのが良いでしょう。
高価なお飾りを大切にしてきた方からすれば、それを子や孫にも受け継いでほしいという想いもおありかと思いますが、譲り受けや兼用は避けたいところです。
初節句のお飾りは兄弟姉妹で1つでもいいの?
上記での説明通り、お節句のお飾りは一人一つです。
姉妹や兄弟など同性の子供が生まれると、上の子のお飾りと共通でいいような気もしますが、上のお子さんのお飾りは上のお子さんだけのものなのです。
例えばひな人形は、段飾りになるとかなりの幅をとります。住環境によっては二つも三つも飾るのは無理があるかもしれません。収納にも困りますよね。
内裏雛だけのお飾り(親王飾・しんのうかざり)といったコンパクトな飾りもありますし、複数のお飾りを飾る可能性がある場合は大きさについても少し考えてみるといいかもしれませんね。
生れてすぐでも初節句は必要?
赤ちゃんが生れるタイミングによっては、お宮参りよりも先に初節句がやってくるなんてこともあるでしょう。
その場合は無理せず、翌年にお祝いしても問題ありません。
お宮参り前ということは産後1か月も経っていない時期です。あれこれ考えたり準備するのは母体にも赤ちゃんにも負担が大きいです。
無理せずゆっくりしても大丈夫ですよ。